ハイイロシメジ(灰色湿地・灰色占地、学名: Clitocybe nebularis)は、Clitocybaceae科ハイイロシメジ属(旧カヤタケ属)の中型から大型のキノコである。毒キノコの一つ。
分布・生態
北半球に広く分布する。落葉分解菌(腐生性)。秋から初冬にかけて、各種林内の落葉が多く堆積した地上に散生、または群生する。落葉には、キノコの本体にあたる白い菌糸体が見られる。
形態
子実体は傘と柄からなる。傘の径は6–20センチメートル (cm) 。成熟するとほぼ平らに開くが、中央部がやや窪むことが多い。傘表面は淡灰色、中央部は色が濃く、縁部はやや内側に巻き込む。傘裏のヒダは、白色から淡いクリーム色で、密に配列し、柄に対して垂生する。
柄は長さ3 - 6 cmで、傘に対してやや短く、根元は大きく膨らみ、ずんぐりしている。柄の表面は白色から淡灰色で、縦線がある。肉はしまっていて加熱したニンニクのような匂いがある。
食毒性
大きくて肉厚で食べ応えがある食感で、シメジのような香りがあり、味もよく良いダシが出るので、地方によっては珍重されるところもある。しかし加熱不足による生に近い調理や、体質によって中毒を起こすので毒キノコとされ、安易に食用にすることは慎むべきである。毒成分については不明とされる。
食後数十分から24時間以内に、悪寒、嘔吐、下痢などの消化器系の中毒症状を示すが、2 - 3日後には回復する。
類似するキノコ
類似種にシロノハイイロシメジ(C. robusta)があり、本種よりも白みが強くニラの腐敗臭があるとされる。2024年に新潟県の直売場で大黒シメジ(ホンシメジ)として誤って販売された事例がある。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 白水貴 監修、ネイチャー&サイエンス 編『毒きのこ : 世にもかわいい危険な生きもの』新井文彦 写真、幻冬舎、2014年9月20日。ISBN 978-4-344-02640-7。
- 長沢栄史 監修、Gakken 編『日本の毒きのこ』学習研究社〈増補改訂フィールドベスト図鑑 13〉、2009年9月28日。ISBN 978-4-05-404263-6。
- 原田栄津子、川出光生、松田陽介、伊藤進一郎「スギ林における食用きのこ類の形態学的観察および分子生物学的検討」『日本菌学会大会講演要旨集』第53巻、日本菌学会、2009年、56-56頁、doi:10.11556/msj7abst.53.0.56.0。




